9月24日, 29日 八王子市立第9小学校けやき教室 “OctoStudioワークショップ”

9月24日と29日に、八王子市立第9小学校のけやき教室(特別支援教室:通級)で、OctoStudioを使ったプログラミング授業(ワークショップ)をリモートで実施しました。けやき教室でのリモート出前授業も今年度で3年目になります。今回は2日間で計5回のワークショップを実施しました。リモートでのワークショップで子ども達にどのような支援ができるのか、子ども達と先生方と一緒に活動をしながら、毎回考える貴重な機会をいただいています。

リモートでのプログラミング授業について、その方法をどう改善してモデル化していくかとあわせて、参加する子ども達と先生方が、この時間だけでなく継続的に目標として取り組んでいることをワークショップを通じてどう支援できるかについても、実践を通じて考える機会をいただいています。今回は、話をしっかりと聞くこと、そして質問をしてみることが目標でした。

当然ですが、、リモートで画面越しの先生の話を聞くことは、対面で話を聞く以上に集中力が必要です。リモートで質問することは、子どもも大人も関係なく、誰でも難しい活動です。まずは、リモートで初対面の人に話しかけること(昨年度も一緒に活動した子どももいます)、そしてリモートで知りたいこと、聞きたいことをどう伝えるかは、子ども達にとって(大人にとっても)大きな挑戦です。

今回は質問コーナーと名前をつけて、子ども達にモニターの前に来てもらい、質問や作品を見せてもらう活動をしました。テレビのグルメ番組で、日本各地でオススメのグルメを教えてもらうブースのようなイメージです。

子ども達には、それぞれサポートをする先生方がついています。一緒にモニターの前に来てもらって、「こんにちは」とまずは挨拶から。そして、つくっている作品を見せてもらったり、作品づくりで困っていることについて対話をしていきます。

子ども達のアイデアを形にするためのヒントとして、また困っていることを解決するヒントとして、サンプルプログラムを画面に映してみます。こんな絵をスプライトに使いたいという子どもと一緒に、生成 AIを使って絵を描いてみたり、見せてもらった作品に「こんなこともできるかも」と声をかけてみたりしていると、リモートではなく対面でのワークショップに参加しているような気がしてきます。

Resnickら(2009)は、1980年代の初期のプログラミング教育が上手くいかなかった3つの理由として、当時のツールそのものの難しさとツールを活用してできることが限られたことを挙げています。ScratchやOctoStudioなどの新しいツールはこの課題を克服するために、テキストではなく、ブロック型コマンドを使ってプログラミングでき、さらに多様な作品づくりができるようになっています。そして、もう1つの理由は「適切なタイミングで適切なアドバイスができなかった」ことでした。Scratchのコミュニティ機能は、これを補う一つの手段ですが、必ずしも十分であるとは言えません。適切なタイミングでの適切なアドバイスは、その場で子どもたちの様子を見ながらしていくことが、もちろん最善の方法です。

今回のブースでの質問は、適切なタイミングを子ども自らが決めなくてはならず、そして勇気を持ってブースに向かうこと、さらには自ら説明するという難しさが伴います。しかしながら、自分が興味を持っている作品(Pearsonally Mearningful Artifact)づくりは、そのような難しさをも克服する原動力になるのかもしれません。また。今回のリモート質問ブースは、単にオンライン会議で繋いだだけですので、もう少しテクノロジーとしても工夫の余地があります。しかしながら、未熟なテクノロジーだからこそ(必要最低限なテクノロジー)、伝えたいことがあれば、よりその伝えたい気持ちを増幅させる、そんな可能性も感じることができました。

そんな子ども達の様子や作品を見ていると、ついつい心から「いいね!」「すごいね!」と言ってしまいます(1回のワークショップで何回言っているのか、今度数えてみたいと思います)。

ワークショップでの作品づくりを通じて、子ども達やワークショップに関わっている大人とのコミュニケーションは、私自身がワークショップを続けていく何よりのモチベーションになっています。ワークショップ中に、そしてワークショップが終わった後も、何度もモニター前に作品を持って見せに来てくれる子ども達に感謝の気持ちでいっぱいです。

今回もありがとうございました。

参考文献
RESNICK, M. et al(2009)Programming for All Communications of the ACM Vol.52 No.11:60-67
https://dl.acm.org/doi/10.1145/1592761.1592779

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